本日の第1579回経営者モーニングセミナーは、石巻赤十字病院 副院長 東北大学医学部臨床教授 医学博士 鈴木 聡様を講師に『緩和ケアと「迷惑」』というテーマでご講話をいただきました。

がん患者さんなどに多く施される『緩和ケア』は、患者さんが本来もつ身体的苦痛に加え、精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛の緩和を目的とする行為で、従来は治療が終わった後に実施されるものでしたが、現在は診断時から治療と並行して行われるべきとして、病気の全ての経過に密接に関わるものとなっています。
その様な中、重度の患者さんのなかには、『出来るだけ家族やまわりの人たちに迷惑をかけずに死をむかえたい・・・。』という心理が働きます。
鈴木先生はその患者さんが言う『迷惑』っていったい何なんだろう?ということにスポットをあてて参加者に投げかけました。
迷惑の語源を辿ると、自分自身の行為による迷いという意味から、しだいに他人の行為による困惑へと変化していったそうです。
自分が招いた病気によって周囲に迷惑をかけてしまう・・という心理的負担をいかに取り除くべきか・・。
鈴木先生は『ケア』というキーワードを主体に様々な社会的事例をもとにしながら、その重要性を分かりやすく説明されました。
そしてその本質として、『誰かを気遣うことで私は存在する』という短くも意味深いフレーズで締めくくっています。
病気にかかる事は迷惑なんかじゃない。もっと依存しあいフラットな環境に変えていきたいという思いが強く感じられた講話でした。

本日の参加者は会場31名、ZOOM参加9名、計40名の方が参加されました。
次回は5月11日、石巻市の和食店 四季彩食いまむら 店主 今村 正輝様を講師に迎え『石巻から考える食の未来』というテーマでご講話をいただきます。